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声明・談話

構造計算書偽造事件に関しての談話

国土交通省は11月17日千葉県の「建築設計事務所による構造計算書偽造とその対応について」を発表した。国交省発表の概要は、10月26日に建築基準法に基づく指定確認検査機関「イーホームズ(株)」から「過去に建築確認した建築物の構造計算書が偽造されていた」と報告があり、確認したところ東京都、千葉県、神奈川県で21件構造計算書の偽造が発覚したというものである。21件の内、マンション13件ホテル1件については竣工済みで、13件のマンション471戸には既に購入者(入居者)がおり、2655室のホテルは8月から営業をしていた。
同日付けで国土交通省(住宅局建築指導課)は当面の対応を発表し、「関係者からの事情聴取」「居住者の受け入れ住宅確保」「処分・告発」「再発防止策」「相談窓口紹介」「制度運用の検証」を明らかにした。この中で、現行制度(民間の指定確認検査機関制度)及びその運用の検証及び改善の検討並びに建築士制度も含めて問題が生じた時の保険制度など社会資本整備審議会建築分科会に専門部会を設置して審議することを明らかにした。
都心の一等地にマンション建設ラッシュでマンション供給量が需要を上回り、表面上の売り出し価格では一定水準を維持を装っているが、水面下では大幅な値崩れが発生しており、そのために新築マンションであっても「実際の販売価格は驚くほど価格を引き下げなければ完売にはおぼつかない」大幅なコスト縮減を施主から求められている事が問題の発端である。

加えて、建設業界の重層下請構造と下請に対する指値発注等の体質は根強く残る中で、10年前に比べてマンション1棟当たりの元請企業の受注金額が実態としては半値程度に落ち込んでおり、手抜き工事についても疑いをもたれる。今回個人経営の設計事務所の構造計算書偽造がクローズアップされているが、その裏には、偽造計算書の仕様から更に鉄筋量を減らし部材を削り、加えて養生期間も満足におかずに昼夜を問わず工事を進めて、構造以外にも重大な欠陥が隠れているのではないかと疑われる。居住者の証言は「1月に新築物件に入居してすぐに部屋の雨漏り、外壁のひび割れ、壁紙の剥離が起きた」と証言している。
今回の偽造問題では幸い死傷者が全くない状態で問題が発覚したが、住宅という国民の資産が崩壊し住宅ローンだけが重くのしかかっている。構造計算書を偽造した下請の設計事務所の建築士は「個人では賠償できない」「民間の指定検査確認機関や行政にも責任がある」と開き直っている。元請の設計事務所は「ビジネスは信頼関係、全ての書類をチェックできない」と責任を回避し、民間の指定検査確認機関は「審査は出力データの条件設定とエラーのみでプログラムは一貫してページ数もそろっていた、過失はなく検査は適切」と述べている。施工業者は「確認申請がおりた設計図面であることをチェックしたので問題はない」といい、市役所は「交渉の手助けは出来ても金銭的なことはできない」、国土交通省は「民間同志の契約で行政が補填することはない」と一巡し、マンションを購入した個人が損害を被るだけで終わってしまう。2000年に施行された「住宅品質確保法」では完成後10年間の瑕疵担保期間を定めているが、補償を行う施主が倒産してしまうと画餅となる。また、指定検査確認機関の過ちが明確になった場合でも、物件の価格や規模に対して規模の小さな株式会社、財団、社団では補償をすることなく倒産してしまう。

全建労は、国民の命と暮らしに関わる分野の監督・検査は国民の監視が必要で、主権者たる国民の権利を執行する行政機関がその任務にあたるべきである。民間企業が行政機関に変わって検査・監督を行う場合には十分な補償が出来る保険機構が整っていることが前提でなければならない。また、阪神大震災で明らかになったように大規模地震の発生時に倒壊した建築物は避難住民や救助の大きな障害となることから、建築確認にとどまらず工事施行に際しても行政機関によって安全・確実に施行されていることが監督・検査されることが必要である。再発防止策の検討に当たり、施行時の確認についても行政機関の関与を求める。更に手抜き工事の根底には「コスト削減」があり、建設工事においては官公需・民間工事を問わず「公契約法(仮称)」を制定して適切な請負価格と一人親方を含めた労働者の賃金確保が必要である。今回の被害住民は「建築物の行政チェック」「民間企業の指導監督」「責任の明確化」を求めていることから当該行政機関の組織と人員の確保・拡充を強く求めるものである。

※11月25日東京都がこれまでの態度を一転させて、倒壊の恐れのあるマンション入居者の受け入れ先として都営住宅など500戸を準備することを発表したため11月27日より「談話」の一部を削除しました。

2005年11月24日
国土交通省全建設労働組合
【書記長】大島 健一
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